目標管理システム導入

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ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン社

BATジャパンは1984年、ブラウン・アンド・ウイリアムソン・ジャパン(B&Wジャパン)として日本での事業活動を開始し、 翌年には住友商事株式会社の100%子会社である株式会社エス・シー・エー・タバコ(SCAT)を通じて製品の販売を開始。 2000年、BATグループはSCATを傘下におさめ、B&Wジャパンとの事業統合を行った後、 2001年8月、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン株式会社(BATジャパン)と社名を変更、東京都港区に本社オフィスを開設。

数値化できない目標を実現するために――ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパンが挑んだ、新しい目標管理の境地。

安易な目標管理制度の導入は 会社の成長を妨げかねない

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「実にチャレンジングなプロジェクトだった――」。 ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパンのITセキュリティマネージャーの奥野次朗さんは、この4か月をこう振り返ります。 その言葉には安堵感と自信があふれていました。 奥野さんは2009年の年初、東京のとあるシティーホテルのボールルームの壇上に立っていました。 全社員を前に、あるプロジェクトをプレゼンテーションしていたのです。プロジェクトは新しい目標管理システムの導入――。

それは会社の目標とするビジョンを共有しながら、社員一人一人の目標に落し、実践し、最終的に会社としての目標の実現を図っていくというシステム。 言葉にすれば簡単ですが、奥野さんが取り組んだ目標管理システムは、他には類をみないものでした。いまや多くの企業で導入されている目標管理制度。現在従業員1000人以上の企業の9割が何らかの目標管理制度を導入しているといいます(*1)。 ITを使った目標管理システムは今どき珍しくありません。

ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパンでは、毎年年初に社員全員が集まって、会社全体の目標を共有するのが恒例となっています。「年初の全体会議はこの目標の共有のためにあると言っても過言ではありません。過去には全社員が泊まりがけで行ったこともあります。当社としては非常に重要な位置付けです」しかし、残念なことにいつもここで止まっていたのです。つまりトップが方向性や目標を示して終わっていたのです。 それがどこまで共有されたのか。そこから先、どうだったのかという検証がなかったと、奥野さん。

「そこを何とかしたいというのが会社全体の積年の課題でした」日本において目標管理制度を導入し、その効果を「成果」として給料や処遇に反映することは、90年代から進んでいます。売り上げや利益率、あるいはコスト削減などの数値目標を掲げ、目標管理として取り組むのならば、比較的たやすいでしょう。

しかし、企業の目標には数値化されにくいものが多々あります。逆に数値化が社員のモチベーションや仕事のクオリティを下げることもあり得ます。 高すぎたハードルが社員のやる気を殺いだり、達成しやすさを優先し、本人も会社も成長しない、という事例は少なくありません。

こうした課題をはたしてITをつかったシステムで解決できるのか――。IT担当者として奥野さんは大いに悩みました。「個々の数字は大事な意味を持っています。

ただ結局会社というのは人がつくっている。人がつくる組織文化が重要だと考えています。 その文化が売り上げの数字や成長という結果を生むのだと。だからそういった文化をつくっていくようなシステムができないかと考えていました」ブリティッシュ・アメリカン・タバコは、ロンドンに本部を置く、100年以上の歴史を持つタバコの製造販売のグローバルカンパニー。 社員の成長こそが企業発展の源泉であると強く認識している企業です。

*1:2006年3月に『労政時報』が行った「目標管理制度の運用に関する実態調査」

人を経営の中心におき お互い高めあう文化を発展させる

yam_05その企業文化をより発展させたい――。 悩んだ奥野さんが思い描いたシステム、それは社員が成長できる“文化”を作り上げていくITベースの目標管理システムでした。「いろいろ探しました。数値に落していくようなソリューションパッケージは確かにあるのですが、我々が求めているのとは違う。半分以上が数値化できない世界ですから」企業文化をITが創出できるのか――。奥野さんのチャレンジはそんな大胆な問いでもあったのです。

奥野さんはまず、単純に会社の目標と個人の目標をつなげるには、どうしたらいいかを考えたといいます。「会社の目標は与えられたという意識になりがちです。それをいかに自分のものとしてもらえる形を考えたのです。 そうすると当社では紙で『目標はこれです』と渡されていたものがあるのですが、それに書き込んだり、アレンジできるようにできればいいのではと考えました。 会社の目標に対して、自分で決めた目標を書き込むことができるようになれば、それは自分のものであるという意識を持つと考えたのです」。そのためのツールは何がいいのか。紙がいいのか、あるいはメールがいいのか。奥野さんは検討を重ねました。

同時に奥野さんがこだわったのが「書き込む」という意味付けでした。「たとえ文章として分かりにくいものでも、まず書いてみる。それが大事だと考えました。 数値で表せないような目標を、わかりやすく明文化するのはなかなか難しいこと。ですので、今回社員の皆さんには明文化するための時間は、できるだけとったつもりです」書き込みやすさというと、浮かんでくるのが、ブログやSNSです。「実は過去にSNSやブログなどを活用した仕組みも取り入れたことがあるのですが、うまくいきませんでした。 実名ということもあり、あまり書き込んでくれず、話が発展していかないのです。単に利便性だけでなく、セキュリティのことも考えなければならないですし」

社員個人の目標を 互いに共有できるシステム

yam_03最終的に奥野さんが描いたシステムは、いわば書き込めるオリジナルサイト。 そこに社員がログインすれば、会社の目標と自分の掲げた目標がわかり、いまその目標に対してどういうレベルにあるかがわかるもの。奥野さんはそこに「シェア=共有」という概念を取り入れました。

会社の目標や所属部署、チームの目標をシェアするだけでなく、個人が掲げる目標もシェアするのです。「個人の目標をその本人が見るだけでなく、所属しているチームや他部署の人が見られる仕組みです。

そうすることでチームのメンバーがどんな目標を持ち、どんな取り組みをしているかがわかるようになり、より深いコミュニケーションができるようになると考えたのです。問題はそんな“わがまま”を聞いてくれるベンダーさんがあるか、でした」

「今回のプロジェクトにあたって、お声掛けしたのは3社。そのなかで一番いい提案をしていただいたのがPro-SPIREさん。 Pro-SPIREさんとの仕事は初めてでしたが、非常にいい仕事をしていただきました。変更も多かったのに、質のいいシステムをつくっていただいた。

実は、Pro-SPIREさんと当社は以前からお付き合いがあったのです。そのことはプロジェクトが始まってから別の部署から知らされたのですが、『いい仕事をするよ』って。 そういうことが共有できていなかったのも当社の問題でしたね(笑)。開発は2か月という短期間で実現しました。 通常であれば、こちらが出したオーダーをPro-SPIREさんが社に持ち帰って開発するのでしょうが、今回は当社にずっと来ていただいて開発しました。 この融通性があったからこそできたとも思います」

社内の人を週替わりで表示 お互いの関心度を高める

icon_02奥野さんがこだわっていた「目標のシェア」という表現については、画面に週替わりで社員をランダム表示するような仕組みを取り入れました。朝、会社で自分のPCを立ち上げ、自分のサイトにログインすると、会社の目標と自分の目標が表示され、 そこに社内の何人かの人がランダムにピックアップされ、表示されるのです。

新聞や週刊誌などのコーナーにある「今週の人」といった企画です。その人をクリックすれば、その人の目標と取組みも閲覧できるようになっています。「それ以外にも意図的に気になる人を探して、その目標や取り組みを見ることができます。あと隠れキャラクターもいるんですよ。ある画面に触れると現れるようになっています。 ノリで出てきた企画ですが、実際につくってみてこうした遊びも話題づくりとして社内サイトには必要だということが分かりました」こうした仕掛けでかなりアクセスも高まり、知らない人に関心を持つ社員が少しずつ増えているといいます。

奥野さんは、会社全体の文化が徐々に変わってきているのを実感しています。「何かの案件で折衝すると、これまでは意見が対立することが、ままありました。それ自体はあってしかるべきなのですが、その理由がわからなかったのです。 多くは個人的な性格や考えのせいだと思っていた。

でも最近では、この人の目標が違うから、立場が違うからそういう意見になるのだと、相手の立場を推し量れるようになってきたのです」相手の理解が進むことで、奥野さんの目指す「目標のシェア」が徐々に実現しているようです。

奥野さんの描いた世界を、 短期間で見事に構築した「ScenarioCompass」

yam_07それにしてもなぜこれほどの短期間で、Pro-SPIREは奥野さんの描いた世界を的確に実現できたのでしょうか。

それはPro-SPIREが「ScenarioCompass=シナリオ・コンパス」という優れた目標管理ソフトを持っていたからです。ScenarioCompassは、企業のビジョンの実現をサポートするための最適な目標管理ツールとして誕生しました。 企業全体のビジョン、そこから落された各部門やセクション、チームといった組織別、そこからさらに所属する個人に落された達成すべき目標ごとに階層表示されます。個人の目標はチェック・分析、コミュニケーション日記、アクションプランなどの機能に分化でき、個々が自律的にPDCAのサイクルで検証できるようになっています。

ScenarioCompassはお客様のニーズに合わせ、これらの機能をカスタマイズできることも特徴です。ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン様のケースでは、とくにコミュニケーションの機能を強化、カスタマイズしています。カスタマイズの方向性として、統一イメージを作り出すことも重要です。

ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン様のケースでは、まず会社全体のビジョンを皆で共有し、 全員がリーダーであることをキーイメージにしてシステムづくりを展開しています。現在、個々の目標の進捗状況を測るシステムづくりのフェーズに入っていますが、進捗をビジュアライズしたグラフで提示し、 社員一人一人が今どのレベルにいるのかが一目で、かつ楽しくわかるような工夫もしています。

社員が評価をどう受け止めるか まだまだ道半ば

こうして奥野さんの挑戦は、いよいよ積年の「目標に対しての現在地の評価」の実現に近付いています。「目標に対する進捗状況の評価については長年の懸案でしたから、こうした視覚的にわかりやすい指標で表示できることは、大きな前進だと思っています。 ただ、正直それを社員自身がどう受け止めるのかは全く読めていません。

『自分はこんなに頑張っているのにこの程度の評価なのか』とか、あるいは『まだまだ頑張らないといけない。よしやろう』と思うのか、見えない。私個人としては、それに一喜一憂するのではなく、あくまで考えを変えていく、自分のモチベーションを上げていくきっかけになればいいと思っています。 このシステムは、他にはない先進的なシステムだと自負していますが、それゆえまだまだこれからの部分が多い。 なにより人間がつくるものですから、皆さんの声を聞いて、それをフィードバックし、成長させていくことが大事だと思っています」

「ScenarioCompass」概要と特徴

Scenario Compassは“目標を管理”するものではありません。

「目標管理」によって管理する対象は、“目標そのもの“ではなく、仕事や部下の活動…いわば“目標による管理”を行なうツールです。“目標による管理”をおこなうためには、プロセスを管理しながら、どんな結果を残せたか、 また、最終的にどこまで目標を達成できたかを評価し、次の目標につなげることにより、PDCAサイクルをしっかり回していくことが重要です。

そこで、Scenario Compassでは、以下の4つの特徴により、 “プロセス”を企業のナレッジとして蓄積しながら、目標達成に向けての活動をマネジメントできる仕組みを提供いたします。

  • 企業/組織/個人の達成するべきする目標(コミットメント)を関連付けて階層的に管理
  • 企業パフォーマンスをはかる指標となる「KPI」(業績評価指標)と目標を連動させ、目標達成度の妥当性を定量的に評価
  • Scenario Compassを使った目標達成に向けた取り組みがログとして保存されていくため、シナリオ(ナレッジ)として蓄積され次の新たなる戦略策定に活用できる
  • BIツールと連動させた様々なチェックする仕組みを使ってスピーディーな状況のキャッチアップとしアクションを実現

yam_06「ゆくゆくはよりパーソナルなものも表示できるようにしていきたい。このサイトから社内活動やクラブのようなものが自然発生的にできればいいでしょうね。

それからPro-SPIREさんは、もっとプレゼンに自信をもったほうがいいと思います。内容と品質はいいのですから。今回お仕事をさせていただいて感じたことは、その点ですね」