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マネジメント論-1

2016.04.30

米国の大学でビジネスを専攻すると、大体が必修科目として「MGMT 101」を履修する事になります。MGMTとはManagementの略で、要するに経営学の基本を本科目で履修する訳です。

傾向として、本科目の初期で講師から高い確率で提起される議題があります。

それは、

「Shareholder Theory Or Stakeholder Theory」

です。

直訳すると、「シェアホルダー(株主)とステークホルダー(会社に関わる全ての団体もしくは個人)」ですが、これは要するに、「企業とは何であるか」、「企業の存在意義」に関する問いかけとなります。

すなわち、「企業の存在意義とは株主の利益の最大化であるべきか、もしくは会社に関わる全ての人の利益の最大化であるべきか」という問いかけから講義はスタートします。

哲学的な問いかけなので、白熱した議論が予想される訳ですが、そこはなかなか大学に入りたてのネギ坊主有望な若者達には想像がつかないスケールの話なのでしょう。暫らく沈黙が続いたあと、講師がすんなりと答えを出してくれます。

「企業の存在意義とは株主の利益を最大化する事である!」

 

 

 

 

 

0905182

(※)出典1

「えっ?」

面白い話、管理会計や財務会計の講義でも、大体初歩レベルの科目ではこの話が出ますし、講師が出す答えは同じです。

個人差は当然あるものの、Shareholder Theoryを信奉する講師の説明は大体がこんな感じです。

「会社とは株主の資本で成り立っているため、株主は会社の持ち主です。よって、公器として会社はその持ち主の利益を最大化する法的、社会的義務があります。」

ふむふむそうなのですね。…というのが、大学一年生のおおよその反応です。

「いやいやいや、株主の利益だけを追求するという事は自分の会社だけが儲ければイイという話ですよね。それって、取引先は搾取して然るべきという考え方につながりませんか?」

「株主の利益と会社の従業員の利益は同じなのでしょうか? 株主の利益を最大化するという事は、会社の利益は全て株主に還元されるのが正しいという事になります。そう考えると、社員は自分たちの利益にならない事を延々と強いられる奴隷になれ、そういう事ですか?」

「顧客はどうなるのですか? 株主の利益追及が最優先であるならば、顧客からいかにお金をうまく巻き上げるかを追求すれば良いという事になります。それを法が許す範囲で行う事が会社の存在意義なのですか?」

「先生のおっしゃっている事は非人道的です。逝って下さい。」

「そもそも、Shareholder Theoryを愚直に信じて成功を続けている事例がどれくらいあるか知りたい。」

といった穿った質問(一部ツッコミを含む)を投げかける生徒はあまりおらず、議論はあまり盛り上がらないで終わるケースが多いようです。

経営学の基本としてShareholder Theoryの正しさを説く事が米国流のマネジメントの根本的な考え方をあらわしていると思いますが、もちろん科目のレベルが上がるにつれてShareholder Theoryをいかに追及するか、いわば方法論についても議論される事になります。

例えば、「Customer Satisfaction=顧客満足度」、「Employee Satisfaction=従業員満足度」、「Alliance=アライアンス(協業)」、等。

つまり、株主の利益を最大化するという考え方を徹底するからといって、社内外のありとあらゆる要素を考慮しない、という話ではありません。むしろ、社内外のありとあらゆる要素を考え抜き、株主利益の最大化を実現する事がShareholder Theoryの本質となります。

一方で、Shareholder Theoryによると、社内外における全ての活動―すなわち、顧客満足度や従業員満足度、もしくは取引先の満足度の追及などは全て株主利益の最大化を実現するための戦略に過ぎない、という事はまぎれもない真実です。

この点を巡って、Shareholder TheoryとStakeholder Theoryは答えのないトピックスとして今なおマネジメント論に根付いています。

ただし、Shareholder TheoryであれStakeholder Theoryであれ、「会社は利益を追求する公器である」という考え方はどうやら共通しているようです。したがって、考え方は違えど向かうところは同じという事になります。

そう考えると、Shareholder TheoryとStakeholder Theoryは会社として利益を追求する上での価値観やスタンスの違い、と捉える事も出来ます。

最後に、経営者の格言をいくつか記載します。

どれもShareholder TheoryとStakeholder Theoryについて考える良い材料になると思います。

「株主価値だけが増大して、社会的に何の価値もないという企業であったら、それこそ存在価値がない。」

「自分の利益よりも、まずまわりの幸福を考える。それがリーダーの条件だ。」

「私はうちの会社のみんなに、“自分が幸福になるように働け”っていつもいってるんですよ。会社のためでなく、自分のために働けって。」

「我々の行動のすべては、顧客の獲得か、顧客の維持を目的としている。」

「花を育てるには、肥料と水を両手に持って、常に両方をかけなくてはいけない。うまく育てば美しい花壇になる。育たなければ抜くしかない。経営もそれと同じだ。」

「商売の極意とはお客様の尊敬を得ることだ。売る側に高い道徳観や人徳があれば、信用以上のものが得られる。」

「儲けるとは何か。簡単なことだ。去年より売り上げを伸ばし、利潤を上げればよいのである。これを毎年繰り返していけば、企業は必ず成長していく。」

「はっきり言って、短期的経営は誰にでもできます。ひたすらコストを絞り、これ以上絞れないというところまで絞ればいいのです。また、長期的経営も誰にでもできます。「辛抱強く待っていてください。我々の戦略がそのうち成果を上げますから」と言い続ければいいのです。四半期の成果を求める圧力と、儲かる未来を築く必要性の両方に応えることが、優れた経営者の仕事です。」

「企業の将来は、意欲的な従業員と満足した顧客を生み出せるか否かにかかっています。企業はこの両者の声に耳を傾けなければならない。また、企業はコミュニティにおけるよき隣人として、社会の責任ある一員として行動しなければいけません。」

「企業は株主のものです。資本主義は、株主が自分の会社の成功を望むという原則に支えられています。株主は持続的な利益を望みます。持続的な利益は、満足した顧客、意欲的な従業員、繁栄するコミュニティ、健全な社会を生み出すのです。」

「第一が顧客、第二が社員、第三が株主。」

「1年に1回、株主総会で株主に散々言われて襟を正すことが大事なんだ。そんな厳しいことを言ってくれるのは身内か株主くらいしかいない。」

「「社員やお客さんが主役」の会社にしたいと思っている。現実には社員やお客さんよりも、株主や経営者を優先している会社のほうが多いよね。とくにアングロサクソン型の経営が日本に入ってからは、株主が一番で、経営者は株主の意向に従って経営を行ない、社員やお客さんは株主や経営者が利益を得るための手段になっている。これじゃ社員もお客さんも幸せになれない。僕はこれをひっくり返したいと考えている。」

「株式会社だから株主の利益が究極の目標という考え方もあります。でも顧客を第一に考える経営は、結果的に株主の利益につながります。」

「株主の利益を考えた場合も、いわゆる売り抜けを狙っている株主と長期保有される株主を分けて考える必要があります。長期保有の株主は、安定的な配当と堅実なキャピタルゲインを求めておられるわけで、そうした株主の期待に応える経営をしていくことが大切だと思います。」

「株式公開は、アウトサイダーからリスクマネーを調達するということです。経営者には、アウトサイダーからの様々な付託に応える責任があります。それが嫌だというのなら、非公開企業にすればいいのです。」

「会社は株主や役員のためだけにあるわけではありません。現場の従業員が仕事をやりやすい「場」を得て、生き生きと働くことが大事なのです。」

「弊社は株式会社ですから、株主あっての弊社です。その意味では、株主が一番です。しかし、株主がただ弊社の株式を持っているだけであれば、何の営みも生まれません。株主だけを一番に据えているだけでは、弊社は意味がない。やはりお客様の存在があってこそ、初めて弊社は成り立ちます。その観点ではお客様が一番です。ところが、弊社には、お客様に満足を与えるビジネス上の責務があります。そのためには、従業員が働かなければ、お客様に満足を与えることはできません。やはり従業員も一番です。つまり、株主、お客様、従業員は切っても切れない関係だと思います。」

「会社は誰のものかといえば、それは株主のものです。しかし、株主だけでは会社は存立しえない。守るべきものは現経営陣や限られた一部の株主を超えたものであるはずです。」

「訴えたいなら訴えてください。特定の株主のためではなく、会社全体の利益のために、私たちはやる必要があると判断したことをやっているのです。」

「経営者にとって自社の株価を高めることは、株主重視経営に繋がっていくだけではなく、株式交換制度の導入によってM&Aを有利に進めるという具体的な意味合いを持つことになりました。自社の株価を高めるには、健全な財務体質、高収益、高成長を実現しなければなりません。つまり中長期に高い成長のできる企業は財務内容を充実し、株価も高い評価を得てM&Aのような斬新な経営方針を実現できるようになるわけです。」

「内部蓄積は株主資本ですから、本来株主のものなのです。会社というのは持続して成長していかなければならない。それによって株主の期待に応えるというのが筋だと思います。」

「何かの意思決定をする時には株主の声にも耳を傾ける必要がある。株式会社のお金はもともと株主のものなので、株主の権利を守るのは経営陣の役割の一つでもあります。」

「株主がどうであろうとも、私たちの企業の成功を左右するのは最終的には企業であり、顧客であると思っています。」

「ベンチャーが立ちあがったばかりの柔らかい時期に、「来期にはこれだけの収益を上げてくれ」「こちらの事業を先にやってくれ」などと(株主に)いわれると、せっかくのチャレンジができなくなります。」

「経営者が社員を幸せにしようとするから、社員も一生懸命仕事をし、お客様を大事にする。その結果、業績が良くなっていけば株主も喜ぶということになるのです。」

「株主だけでなく、顧客、取引先、地域社会、従業員といった関係者全般の貢献を重視し、持続的に成長していく点は日本的経営の良さです。我々はそれを実践してきましたし、これからも自信を持ってそうした経営を貫きたいと思っています。」

「人々を大切にすれば、ビジネスはあとからついてくる。人々とは、当社を支持してくださるお客様、社員、代理店や株主、地域のことです。」

「グループ全体を考えたとき、「会社」はひとつの「社会」だ。株主などステークホルダー(利害関係者)に配当や株価で報いることももちろん大事だが、原点は従業員がよりよい社会の中で、自分を100%発揮すること。そのためには市況の良いときも悪いときも、新入社員から経営幹部まで、人の扱いの公平性を保てるかを重視する。」

「株主の中には、多額の先行投資に反対する人もいます。しかし、アマゾンは長期的な視野で考える会社です。今後も積極的に投資を行っていきたい。」

「目的は利益をあげ、株主のために会社の価値を高めることでしょう。ただどんな手段でその目標を達成するのかという点に、企業哲学が表れます。高級ブランドの場合、商業的になりすぎると短期的な成功しか得られません。」

「私は「投資なきところに成長なし」という理念を持っています。たばこ業界3番手の当社は、事業投資によって中長期的な企業価値を高め、株主の期待に応えていきたい。」

「ユニクロのヒートテックは安いから売れているわけではありません。ヒートテックはいままでにはなかった機能を付け加えたから売れたのです。顧客価値を考えた商品といえます。一方で、企業価値の向上だと株主ばかりを見て、顧客のことをあまり考えて来なかった企業はお客さんから選ばれません。」

「社長就任以来、ステークホルダー(利害関係者)とのコミュニケーションの大切さを改めて感じており、最近、社内で「4R」について話します。「PR(広報)」「IR(株主を含む投資家など資本市場の関係者に対するPR活動)」「SR(株主との関係性だけに対するPR活動)」、そして「ER(従業員に対するPR活動)」です。」

「もちろん、会社は誰のものかといったら、本来は株主のものです。ところが従業員が辞めていなくなってしまったら、会社の存続が危うくなる。」

「会社というものは株主の投資によって資金をいただいておりますので、それに対して適切なリターンをお返ししなければいけない。これは当然のことですが、本当にそれだけで動いていていいのでしょうか?そういうことだけで動いている会社で、失敗している会社がいくつもある。そうじゃなくて昔から有名な会社で立派なお仕事もされて、経営もよくて、世の中に名前もよく知られていて、社会のためにいいことをしている。そういう会社もあるわけです。」

「私たちの哲学は非常に明確で、長期的な視点に立っています。長年にわたって継続的にコスト構造を改革してきました。コスト構造の改革で、節約した お金を、商品を低価格にするということで顧客に還元してきました。こうしたことは、短期的には一部の投資家の不興を買うかもしれませんが、顧客にとって正 しいことなのです。長期的に見れば、顧客の利益と株主の利益は必ず一致するはずなのですから。」

以上(※)出典2

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出典1: http://chinapupu88.blog82.fc2.com/blog-entry-328.html

出典2: http://systemincome.com/